2019/07/09
【読書感想】悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験
本書の帯に書いてあったジョニー・カーソンのセリフで、この本を読むことに決めました。
健康のために、酒もタバコもセックスもグルメもやめた男がいる。
どうなったかって? あっという間に自殺したよ
この本は、もしあなたが
- 心理学に興味がある
- 心理学者がどんな実験をしているのか気になっている
- ついついしてしまう悪癖の効用を知りたい
のどれかに該当するならば、是非読んでほしい一冊です。
この本は悪癖 - 「セックス」「飲酒」「危険運転」「悪態」などの隠れた効用について、過去行われた様々な実験を例に出しながら紹介しています。
著者のリチャード・スティーブンズはイグノーベル賞の受賞経験のある心理学者です。
「悪態をつくことによって痛みを軽減させる」といった研究でイグノーベル賞を受賞されており、この本の中でもその研究について紹介されています。
「研究」と聞くとなんとなく堅苦しいイメージが湧くかも知れませんが、この本は非常にわかりやすく、楽しみながら読むことが出来ます。
私が面白いなと特に感じたのは「魅力的な顔について」の研究です。
本書によると、美しい顔というものは何か特徴があるわけではなく、むしろ逆で平均的な顔のことを指すらしいです。
筆者は魅力的な顔立ちをした人に出会ったら、とても平均的な顔立ちですねというのが一番正直な褒め方だとしています。(同時に喜ぶかどうかは別とも述べていますが)
また単純接触効果についても述べていて、魅力的な人物は、個性的な顔だちをしているとか運命の人とかいうわけでもなく、ちょくちょく顔を合わせている人といったなんともロマンがない結論を出しています。
他にも汚い部屋は独創性を高めるといった説や迎え酒が二日酔いに効く原理など、多種多様な興味深い実験が紹介されています。
この本は堅苦しい文章が苦手な方でも、さらさらっと読むことができ、日常の悪癖についても詳しくなれます。
ムダを排除する風潮にある現代社会に生きるからこそ、知っておいたら楽しいだろうなという実験の数々が紹介されており、非常に面白い本でした。